大峰山・山上ヶ岳 僧職系登山男子が修験道の修行に挑む

大峰山・山上ヶ岳に登拝しました。

大峰山は修験道の聖地。
今でもたくさんの山伏が修行に励む「山岳信仰始まりの地」です。

僧職系登山男子が教える「山岳信仰の基本」

日本の山には「御嶽」「蔵王」「金峰山」といった名前が付いている山が多くあります。
それらはこの大峰山・山上ヶ岳にルーツがあります。

修験道の開祖である役行者(神変大菩薩とも言います。修験道では「南無神変大菩薩」とお唱えします。)が、
この山上ヶ岳の山頂で「蔵王権現」を感得しました。

役行者が最初、山上ヶ岳の山頂で祈りを捧げるとはじめに現れたのが弁財天でした。
美しすぎる弁財天さまは山中で厳しい修行を積む修験道にはふさわしくないと考え、
お帰りいただいたそうです。
(このとき現れた弁財天が同じ天川村にある「天河弁財天」です。パワースポットとして有名ですね)

次に現れた仏様が「地蔵菩薩」。
優しすぎるお地蔵様はやはり修験道にはふさわしくない。
やはりお帰りいただいたそうです。

最後に現れた仏様は「蔵王権現」。
荒々しく、厳しい仏さまです。
修験道にふさわしい仏さまですので、修験道の本尊とされました。

山上ヶ岳山頂にある湧出岩。この場所で役行者が蔵王権現を感得しました。

そして、
大峰山で修行した修験者たちが、
全国各地の山を開き、そこに蔵王権現をお祀りしました。
大峰山は「金御嶽(きんのみたけ)・金峰山」とも言い、
(実際に大峰山には金鉱脈があり、登拝するときの草鞋に砂金が付いていたのだそうです)
蔵王権現を戴く山々に同じ名前を付けていったのです。

大峰山を経て熊野へ続く「大峰奥駈道」という道があります。
今でも山伏の修行の道です。
その起点は吉野。
「金峰山寺」という修験道の本山があります。
本尊は「蔵王権現」。
秘仏で、御開帳したときにしかお姿は拝めませんが、
迫力のあるすごい仏さまです。

蔵王権現が祀られる金峰山寺蔵王堂。仏さまもお堂も大きいです。

金峰山寺は「きんぷせんじ」と読みます。
百名山の一つ、山梨県と長野県にまたがる「金峰山」は、
「きんぷさん」と読まれることが多いですかね。

金峰山(山梨県・長野県) 次回詳しくご案内します。

「山岳信仰始まりの地」大峰山・山上ヶ岳へ

私は今まで、大峰山に行ったことがありませんでした。
高野山で修行していたとき、修験道の修行もされている先輩に声を掛けてもらっていたのですが、
「高野山という山にいるのに、なぜまた山に行かないといけないのか」
と思ってしまって、結局行かず仕舞いでした。

その話を動画でもご紹介している山伏さま(高野山の塔頭寺院のご住職であり、修験道の修行も修めているスゴイ方です。)に話をすると、
「それはいけない。一度は行った方がいい。段取りしてやるから、連れて行ってやろう」
と声を掛けてくださいました。

本職の山伏さまに連れて行ってもらう大峰山。
もちろん修行です。
今回、山伏さまがご配慮してくださって、動画を撮影することができました。
長い伝統を持つ大峰山の修行。
その修業に僧職系登山男子が挑む動画です。

山上ヶ岳は今でも女人禁制です。
登拝できるのは男子のみです。
一般の登山でおいでになった方もいらっしゃるでしょうが、
実際の山岳修行に風景をご覧になった方は少ないのではないでしょうか。
山岳信仰の総本山の霊気を感じていただければと存じます。

現在でも女人禁制となっています。

ルートは洞川温泉から

ルートとしてはいくつかあります。
今回はメジャールートである「洞川温泉」から。
洞川温泉は「後鬼の湯」。

役行者が鬼に行者の世話をするように命じたという伝説が残ります。
しっかり修行した行者の疲れを癒やす名湯です。
ルートとしては、他にも大峰山奥駈修行で使われる吉野からの大峰奥駈道からの道があります。

この記事を書いた人

syousetsudou